家の庭の畑やハーブガーデンには夏になると食べれる野草が自然に育っています。はじめは雑草として捨てていたのですが3年前にアジア系のスーパーで売られているのを発見しました。店員さんに「この葉っぱうちにもいっぱい生えてるけど食べれるの?」と聞いたところ
”この葉っぱは、スーパーフードだよ!”
と言われたことがきっかけで、リサーチし食べるようになりました。日本でも簡単に手に入る野草なのにおいしいので今回紹介します。
スベリヒユとは?
スベリヒユ(Portulaca oleracea)は、世界中で広く見られる一年草の野草です。日本でも、特に夏場に道端や畑の周辺、空き地などでよく見かけます。その姿は低い地面を這うように広がり、黄色い小さな花を咲かせます。葉は丸みを帯びた肉厚な多肉植物で、茎は赤みがかった色をしており、簡単に引き抜くことができます。農業では時に雑草として嫌われることもありますが、実は古代から薬草や食材としても利用されてきました。
世界のスベリヒユの位置づけ
近代ヨーロッパにおいても、スベリヒユは家庭菜園で育てられることが一般的でした。 多くの地域で「貧者の食物」と呼ばれるほど、誰でも手軽に育てられ、栄養価の高い植物として重要視されていました。
一方、アメリカでは、移民によってスベリヒユが持ち込まれ、特に20世紀初頭には一部の地域で食用植物として普及していきました。 特に移民が多く住む地域では、スベリヒユが重要な食材となり、サラダやスープ、炒め物に使われました。
インドと中国でも、スベリヒユは伝統医学において重要な役割を果たしてきました。 インドのアーユルヴェーダ医学では、「Kumarahva」という名で呼ばれ、抗炎症作用や利尿作用を持つハーブとして使用されてきました。 また、傷や皮膚の疾患の治療にも用いられました。
中国の伝統医学では、「馬齒莧(マシケン)」という名で知られ、漢方薬の一つとして利用されていました。 スベリヒユは、熱を取り去り、解毒し、腸内のバランスを整える効果があると信じられており、下痢や胃腸の不調に対する治療薬として広く使用されました。
スベリヒユは、中東やアジアでは古くから食用として栽培され、健康に良い食材としての地位を築いてきました。特にオメガ3脂肪酸やビタミン、ミネラルが豊富であるため、スーパーフードとしての評価が高まっています。近年では健康志向の高まりにより、野草としてだけでなく、家庭菜園や市場でもその価値が見直されています。
野草なのになぜスベリヒユはスーパーフードなの?
野草であるスベリヒユが「スーパーフード」として注目されている理由は、その豊富な栄養素にあります。通常、野草は健康に良い成分を含むことが多いですが、スベリヒユはその中でも突出しています。例えば、他の植物に比べて非常に多くのオメガ3脂肪酸を含んでおり、これは血液の循環を良くし、心血管系の健康をサポートする役割があります。さらに、抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンE、βカロテンが豊富に含まれており、体内のフリーラジカルを減少させ、老化防止や免疫力向上に役立ちます。
また、スベリヒユはミネラル分も豊富で、特にカリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄分を多く含んでいます。これらのミネラルは、骨の健康維持や血圧の正常化、筋肉機能のサポートに寄与します。さらに、食物繊維も豊富で、腸内環境を整える効果も期待できます。
このような特徴から、スベリヒユは栄養価の高い「スーパーフード」としての位置付けを確立しています。現代の食事に不足しがちな栄養素を手軽に摂取できることから、特に健康志向の高い人々に支持されています。
スベリヒユの栄養
スベリヒユは、私たちが必要とする栄養素をバランスよく含む、まさに栄養の宝庫です。ここでは、その具体的な栄養成分について詳しく説明します。
成分 | 含有量(100gあたり) | 期待できる効果 |
---|---|---|
オメガ3脂肪酸 | 約300-400mg | 心臓血管の健康維持、抗炎症作用 |
ビタミンC | 約21mg | 免疫力強化、抗酸化作用 |
ビタミンA(βカロテン) | 1320 IU | 視力維持、皮膚の健康促進 |
カルシウム | 65mg | 骨と歯の強化 |
マグネシウム | 68mg | 筋肉と神経の機能向上 |
鉄分 | 1.99mg | 貧血予防、酸素運搬のサポート |
スベリヒユはビーガンでもオメガ3脂肪酸が摂れる
このように、スベリヒユは多種多様な栄養素を含んでおり、特に植物では珍しいオメガ3脂肪酸の含有量が特徴的です。この成分は魚介類に多く含まれることで知られていますが、植物からも摂取できる点がスベリヒユの大きな利点です。通常、この脂肪酸は魚から摂取することが多いですが、スベリヒユを食べることでベジタリアンやヴィーガンの方も摂取できるのが利点です。
スベリヒユに美容効果がある?
また、食物繊維が豊富で、消化を助けるだけでなく、腸内フローラを整える効果も期待されます。また、ビタミンAやC、Eは抗酸化作用を持ち、体内の酸化ストレスを軽減するため、生活習慣病の予防や美容にも効果的です。ビタミンAやCは抗酸化作用を持ち、体の老化防止や免疫力の向上に役立ちます。 さらに、鉄やカルシウム、マグネシウムなどのミネラルも豊富で、体のエネルギー代謝や骨の健康をサポートします。
スベリヒユは低カロリーでありながら栄養がぎっしり詰まっているため、ダイエット中の栄養補給や、健康志向の食事にも適しています。 これらの理由から、スベリヒユは「スーパーフード」として注目を集めているのです。
スベリヒユの収穫&注意点
スベリヒユは、比較的簡単に収穫できる野草です。5月から10月頃にかけて、主に日当たりの良い場所で元気に生えています。道端や庭先、畑などで自生していることが多く、自然に生えているものを簡単に見つけることができます。収穫する際は、茎の根元から引き抜くか、ハサミで切り取ると良いでしょう。多肉植物のように水分をたっぷり含んでいるので、鮮度が落ちにくく、長期間保存が可能です。特に若い葉や柔らかい茎が食べやすく、味もマイルドです。育ちすぎたものは繊維が多くなり、少し硬く感じることもありますので、早めの収穫を心掛けることをおすすめします。
スベリヒユ収穫時の注意点
ただし、収穫にはいくつかの注意点があります。まず、農薬や化学物質が使用されている可能性がある場所での収穫は避けましょう。道路沿いや農地周辺での収穫は、土壌や空気の汚染のリスクがあるため、安全な場所を選ぶことが重要です。また、スベリヒユには同じような見た目の有毒植物が存在するため、識別には十分注意が必要です。
スベリヒユの周りにコニシキソウという毒草をよく見かけます。このコニシキソウは小さなスベリヒユのような見た目です。アリが種を運ぶため周りに増えます。このコニシキソウをちぎると白いゴムのような液が出るのですが皮膚に付くとかぶれるし、食べると吐き気を催します。
スベリヒユのそばによくある毒草 コニシキソウ |
間違えて有毒な植物を食べてしまうと健康に害を及ぼす可能性があるため気をつけましょう。また、犬の散歩コースやゴミ捨て場の近くで採取するのも避けるべきです。
スベリヒユが育つのは初夏から秋です。初夏や秋はあまり気にする必要はありませんが、夏場の熱い時間帯に収穫するのは避けましょう。スーパーフードを採るために熱中症になってしまっては意味がありません。夏場は涼しい時間帯に収穫しましょう。
スーパーフード『スベリヒユ』の食べ方&レシピ
スベリヒユを収穫した後は、丁寧に洗ってから調理するようにしましょう。食べ方としては、軽く炒めたり、スープや煮物に使うことができます。生で食べる人もいるようですが僕はおすすめしません。個人的には、おひたしがおすすめです。
スベリヒユ自体は少し酸味があります。茹でるとぬめりも出ます。
生のスベリヒユにはシュウ酸が多く含まれています。シュウ酸の摂りすぎは腎臓病や尿路結石になる可能性があり注意が必要です。ホウレンソウに火を通して水につけてシュウ酸を抜いたりしますよね。茹でた後、水に浸しておけばシュウ酸が溶けだしてくれる習性を利用しています。
スベリヒユのおひたし
材料(2人分)
- スベリヒユの葉と茎:100g
- 醤油:大さじ1
- かつお節:適量
- ごま:少々
作り方
1. スベリヒユを熱湯で3分ほど茹で、冷水にさらしてから水をよく切ります。
2. 茹でたスベリヒユを食べやすい長さに切ります。
3. ボウルに醤油を入れ、スベリヒユを軽く和えます。
4. かつお節とごまをかけて出来上がりです。
ポイント
茹でることでスベリヒユの独特なぬめりがでますが、オクラよりも弱いぬめりです。 おひたしにすることで、シンプルな味わいを楽しめる一品です。鰹節がない場合は顆粒だしを醤油に溶いてあげればおいしく頂けます。
スベリヒユのガーリック炒め
材料(2人分)
- スベリヒユの葉と茎:150g (下茹でしたほうがおすすめ)
- にんにく:1片(みじん切り)
- オリーブオイル:大さじ1
- 醤油:小さじ1
- 塩・こしょう:適量
作り方
1. スベリヒユをしっかり洗い、軽く下茹でし食べやすい長さに切ります。
2. フライパンにオリーブオイルを熱し、にんにくを香りが出るまで炒めます。
3. スベリヒユを加えて、さっと炒めます(1〜2分程度)。
4. 醤油、塩・こしょうで味を整えて出来上がりです。
ポイント
にんにくの風味がスベリヒユのさっぱりした味を引き立て、簡単でおいしい炒め物に仕上がります。 野菜炒めの一品としても最適です。
スベリヒユとじゃがいものポタージュ
材料(2〜3人分)
- スベリヒユの葉と茎:100g
- じゃがいも:2個
- 玉ねぎ:1/2個
- バター:10g
- 牛乳:200ml
- 塩・こしょう:適量
- チキンブイヨン:200ml
作り方
1. スベリヒユを洗い、軽く下茹でし水に浸してシュウ酸を抜きましょう。茎をざく切りにします。 じゃがいもと玉ねぎは薄切りにします。
2. 鍋にバターを溶かし、玉ねぎを炒めます。 玉ねぎがしんなりしたら、じゃがいもとスベリヒユを加えてさらに炒めます。
3. チキンブイヨンを加え、じゃがいもが柔らかくなるまで煮ます。
4. 野菜が柔らかくなったら、ミキサーにかけて滑らかにします。
5. 鍋に戻し、牛乳を加えて温め、塩・こしょうで味を調整して出来上がりです。
ポイント
スベリヒユの栄養とじゃがいもの優しい甘みが合わさり、クリーミーで栄養価の高いポタージュに仕上がります。 軽めの夕食や前菜としてもおすすめです。
スーパーフード『スベリヒユ』のまとめ
スベリヒユは、野草としての一面だけでなく、その栄養価と使い勝手の良さから現代の食卓にも積極的に取り入れたい食材です。スベリヒユのおひたしはホウレンソウのおひたしよりおいしいと個人的には思っています。自然からの恵みを活かして、健康的な食生活を楽しんでみましょう。
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